PANZER FRONT / アレコレ

個人的【 ≒ オフィシャルブログ 】

ベルリン / Berlin

『PANZER FRONT /  アレコレ』第20回目は、ベルリン。

あらためて思うことは、かなりゲーム的な構成であったというところでしょうか。狭い空間に戦闘を押し込んだような形です。

総統地下壕付近に補給地点を置きましたが、砲弾を残してそこまで行くのもなかなか大変な面です。そしてその辺りに凹みを作り、煙を上げて燃えているものを置いてもらおうとしましたが、やめました。もし黒い煙が出ていても、唐突なのでバグと思われたでしょう。それが何かは書きません。

マップを見ると、国会議事堂の位置が実際とだいぶ異なります。ブランデンブルク門までの距離を出そうとしていたのか、その時に何を考えてそう配置をしたのか。4倍のデフォルメでも、地図上の位置を大きく変えるということはほとんどしないことを前提としていたので、例外はヴィレル・ボカージュだけかと思っていました。

ベルリン戦直後のいろいろな写真を見ていると、国会議事堂を背景に88があったり、ティーガーがいたりしますが、ゲームをスタートして、自車がパンツァーシュレック6本束ねた例の車輌だったりしたら、それはそれで緊張感のある面になるような。その場合、脱出グループの突破までウンター・デン・リンデンを、時間制限付きの防衛達成でミッションコンプリートとか、そんなでしょうか。全弾撃ち尽くした後の再装填に1〜2分はかかりそうです。

脱出の指定地点に近い橋を越えた地区は、マルチン・ボルマンが発見されたあたりか。

下の画像はゲームに落とし込むための参考図です。国会議事堂は、もう少し大きいかもしれません。当時、形状のわかる物が見当たらず、写真からこんなではと作成したものです。ポリゴンではかっこ良く作ってもらっていたのですが、離れると表示限界の向こう側に消えてしまい、遠くから見えないのがもったいなかったです。

 

ネヴァ / Neva

『PANZER FRONT / アレコレ』第19回目は、『bis』で追加された『ネヴァ』。

「戦車がネヴァを渡ったという話は聞いたことがありません」と、ロシア語で声を入れてくれた、サンクトペテルブルク出身のイーゴリさんに言われたのを思い出します。子供の頃から大祖国戦争での地元の話は、いろいろと聞いているのかもしれません。

かなり見切り発車的に用意されていたイベント面なので、作って行った先でどうにかしようとしていたのでしょうか、戦車を使用しない、強制イベントで乗り切ることも考えていたのかもしれません。氷がどのくらいの厚みなら、何トンの車輌が通れるのか調べたことはありませんが、戦車を渡らせることにしました。T34は、遠慮したような場所までは前進しています。この面をスタートして『?!』となるのは、NKL-26でしょう。これは別のイベント面に出す予定でしたが、あまりにも面白いので、ここに登場させました。ゲーム的に役に立っているのかは調べたこともなく不明ですが、弾除けになっている可能性はあります。

上はドイツ軍陣地の配置図です。歩兵(ここでは水兵か)と戦車が対岸に登らなければならないために、何箇所か傾斜を作っています。難しいのは機関銃と対戦車砲の射線で、崖のエッジに引っかからないように微調整をしてもらっていたような記憶があります。ここに限らず火点のチェックはなかなか時間のかかることですが、それでも角度によっては地面に引っかかってしまいます。

この面は作業の最後期なので、戦闘設計図はかなり整理されて描くようになっています。中央縦に走る線はスイッチか、それとも何かの範囲指定なのか、覚えていないものです。そしてこの図には、戦車に整理番号がふられていません。必要がないわけではないので、どうしたのか。これが最終稿ではなかったのか? NKL-26のルートもありませんが、そちらは別紙に用意したのでしょう。上の図と見比べると、すこし南に位置を変えていますが、それはタイガー戦車を出すための変更でしょう。もちろん第502重戦車大隊です。

ネットにあったネヴァ渡河の絵画なのか、ロシアのどこかの記念館の物を見ると、ネヴァを戦車が渡っているように見えますが、それはT34です。簡易的な橋のような物の上なので、どこかの時点で架けたのでしょうか。橋脚のような物はなく、氷の上に木材を敷いただけのように見えますが、よくわかりません。どのように補強をしたのか、していないのか、氷は割れないのか。これらレニングラード周辺の戦いは、ストーリーを付けるということがなければ、ゲームに入れることはなかったでしょう。そして調べ始めると、なかなか興味が出てきてしまったということでした。

『ネヴァ』は欠番になるところでした。先にストーリーモードの無い状態(PANZER FRONT)で出し、1年後に完全版(PANZER FRONT bis)として完成させるとの決定に、タクティクスとして復活することになったわけです。

アメリカ編のメモ

『PANZER FRONT / アレコレ』第18回目は、制作されることのなかったストーリーモードの、アメリカ編のメモ。

ストーリーを付けることになって思ったのは、何面くらい必要だろうかということでした。物語なのに5面ほどしか戦闘がなかったら、それはどうなのだろうということになってしまいます。理想なら30面くらいは必要かと思いますが、アメリカ、ロシア、ドイツと、それぞれに30面となると全90面ということになってしまい、そんな数は作れません。分岐のようなものは早い段階で考えるのをやめて1本道としても、最低12面程度は必要ではないかと。

最初に作業を始めたのはアメリカ編でした。それは、ノルマンディとアルデンヌだけでなんとかなるだろうと思ったからです。それに、フランスやベルギーは地図の購入も容易でした。当時、神田の三省堂に地図の専門店が入っていて、簡単に購入できたのです。

上の画像は、ノルマンディだけで10面近く用意した場合のスケッチで、大雑把なメモですが、どういう流れにするかを考えていた頃のものです。架空戦車の投入はアルデンヌからと考えていましたが、このメモでは、ドイツ軍によるリュティヒ作戦の前に用意しようとしています(矢印で、【の前にオリジナル】と書いた部分です)。どうしてそう書いたのかは覚えていません。大小の四角形が戦場になる面で、飛行機のマークは、航空戦力が加わる予定の場所でした。この時点ですでに、サン・ジャン・ド・ディから、アルジャンタンまでの道のりがだいたい考えられていますが、どちらにせよ架空の戦車隊なので、史実から外れた場所でも構わないのですが、とりあえずは、流れに沿ってみようとしていたのでしょう。

リュティヒ作戦ですが、ドイツ軍側からのプレイも考えて範囲を決めましたが、戦闘を組み立てるところまでは行きませんでした。サン・ローなども入っていますが、まだルートをフラフラと考えている頃のスケッチで、今見ると「???」となるところもありますが、企画初期の事なのでこんなところでしょうか。

次はアルデンヌの戦いの、米独双方の動きを描いたスケッチです。このあたりを把握しておかないと作れないだろうと、第8回目の時に書いた駒を利用したり、このような白地図に描き込んだりしていました。これはまだ地図の購入の前なのか、全部が手描きです。作られることのなかった戦場、ヴィールサルム、ロート、スタブローなどの範囲も描き込まれています。左端の範囲は、パイパー戦闘団のいたラ・グレースということになります。一番下に小さくJTと書いてあるのは、日本タバコではなく、ヤークトティーガー

アルデンヌの戦いでは、米軍側は後退行動を作らねばならず、ゲームでの表現は、それはものすごく難しいのです。それらは『B型』で挑戦しましたが、もっと上手く作れただろうと今でも思っています。

ヴィレル・ボカージュ その2

『PANZER FRONT / アレコレ』第17回目は、再びのヴィレル・ボカージュ

第6回目で書いたヴィレル・ボカージュですが、いくつかの書類の中から戦闘設計図などが出てきたのでその続きを。

上の図のように、他の面と違って動きの極端に少ない戦闘図です。最初に動き回れるのは、プレイヤーであるヴィットマンティーガーくらいで、進んだ先でクロムウェルファイアフライが作動し始めます。ここでの特殊な動きとしては、ハーフトラックが撃破されると出てくる歩兵でしょうか。それらはすぐに西側に後退を始めることになっていて、道路に並行した点線がそのルートです。実際にここであったであろうことを、ゲーム内で、どこまで表現できるかで構成してあります。80年代前半は、はっきりしていなかったこの戦闘ディテールも、90年代に入るといくつかの説が出てきていたような。それでも、今現在もはっきりしていない部分は多いでしょう。砲塔番号にしてもゲームでは、昔から知られていた番号『231』としましたが、作っている最中にも別の番号、『222』や『221』であったのではとのものを見ました。とにかく有名な戦闘でもあり、小さな範囲なのに写真も多く、できる限り近づけようとしたわけです。

これは家屋配置の修正図です。街をより狭く、コンパクトに見えるように指定しています。この図ではまだ家屋の周辺には歩道はなく、それらをあらためて追加してもらいました。市松模様に見えるものは地形の最小単位で、1辺が5メートルの正方形です。

上の図で上がって来た物を、さらに細く修正しています。塀の長さ、街路樹のある位置、カーン、ヴィレル・ボカージュと書いた標識の場所などを指定しています。ヴィレル・ボカージュの街は、坂にあるために緩やかな傾斜が必要で、そんな街もゲーム内ではここしかありません。街の入り口あたりにある線は、ここより坂道であることの指定です。90年代の何の雑誌かは忘れましたが、街の中央に一旦平らになる部分があり、それでヴィットマンは街の一番奥までは見通せず、また引き返す時も、それが防御になったのではとの説を読んだことがありました。それと同じ効果は得られませんが、水平になる部分は設けました。反転し、後退した231号車は坂道を登り、今度は路地に退避したクロムウェルとの撃ち合いになりますが、そういう部分は、ゲームに入れ込むことはできませんでした。ミッションの成功もかなりあいまいで、特殊な面と理解していただけるとありがたいです。

 

欠番面の続き その2

『PANZER FRONT / アレコレ』第16回目は、ロシア編で欠番になった、もう一つのイベント面について。

第14回目はオープニングイベントの面でしたが、こちらはエンディングに向かうための面です。シンヤヴィノ周辺の地形図の時に全17面と書きましたが、これは番外の第18面になります。ロシア編の最終面で、イベントであるムービーへの繋ぎのための戦闘でした。

この配置図を見ても、どのような完成予定だったのかは忘れてしまいましたが、強制イベントを含んだ面だったのかもしれません。この直後がエンディングだったと思います。ムービー部分との合わせは、あまり厳密にはしなくてもいいように考えられていました。この面も作られることはなくボツ面となってしまいましたが、地形の出来が良いのと、特徴的な十字路があるということで、ホルニッセの戦いの場所として、ヴィテブスクとして組み立てることになりました。この場所はクラスノーエ・セロの南に位置し、街の解放直後の最後のイベント面として用意されたわけです。

予定では『ネヴァ』もイベント面で、それ以外に『ラドガ湖』という氷上をただ進むだけの面も用意しようとしていました。それらは図を用意する前に中止となり、『ネヴァ』はタクティクスで生まれ変わります。

この図を今になって見直すと、面白く出来そうな気がしてきます。このくらいの戦闘の雰囲気が、PANZER FRONTにちょうど良いのかもしれません。

以上は、イベント面の話でした。これらロシア編の欠番面については、もうないと思います。それにしてもロシア編は、ほとんどが雪の中の戦いだったのだなと。

音楽について

『PANZER FRONT / アレコレ』第15回目は、BGMについてのいろいろ。

ゲームに物語が付くとなるとBGMは必要になりますが、それ以前から入れたい音楽もあり、ドイツやソ連の曲など、持っていた物は当時はレコードでしたのでMDに録音してもらい、この曲をお願いしますと渡していました。ドイツの曲は、古いラジオから流れてくるようなノイズを入れてくださいとか、ロシア編には、ドクトル・ジバコのサントラを参考に渡したりと、音楽の担当者さんには、めんどうで細かい注文ばかりで申し訳なかったです。

企画が具体的に進み始めた頃は、3編の物語で作られる予定でしたので、アメリカ、ロシア、ドイツと、それぞれにBGMを用意することになっていました。残ったドイツ編のムービー部分には、それらは使われていると思います。手元に残っているファイルでみると、ドイツ編では5曲ほど用意されていたようです。

実際にある音楽について思い出すのは、『B型』での『 Panzer rollen in Afrika vor 』と『 Unser Rommel 』のこと。使用許可をもらうためにいろいろ調べてもらったのですが、国内では承諾をもらう場所が存在しないとのことで、そのまま許可をどこからも得られず使うことに。ロシアの『聖戦』でも同じだったのか、そちらはどうだったのかは忘れてしまいました。PAL版をイタリアで出す時にも、そちらでも調べてくださいと連絡はしましたが、なんの反応もありませんでした。音楽の著作権には疎いのですが、すでにそれらは切れているのでしょうか。

『B型』では、『ワルチング・マチルダ』を入れてもらうのをすっかり忘れていました。映画『砂漠の鼠』【The Desert Rats / 1953年】で、テンポの速い威勢の良い演奏で聴けます。

『B型』のクレジットで流れる曲は、メインテーマからアフリカ風な音楽に変わるようにお願いして、その参考にしてもらったのは武満徹の『未来への遺産』だったでしょうか。元々のオープニングの音楽については、当時、『映像の20世紀』が放送されていたので、同じような重々しい感じでお願いしたのでしょう。曲についてPANZER FRONTは、とても良かったと思っています。

ロシアの曲、『 聖戦 』の入っていたレコードですが、いつからか行方不明で、PAZER FRONTを作っていた頃にはもう手元にはなく、カセットテープにダビングしたものが残っていたので、それからMDに録音してもらった記憶があります。

そういえばデバックを始めた頃に、戦闘中に音楽が無いのが変ですとの意見が多くあり、発売されてからも耳にしたでしょうか。当時はパソコンのフライトシムにも音楽の付いたものがありましたが、PANZER FRONTには、盛り上げ用のBGMは不要と考えていました。逆に、ついている方がおかしいとも言えます。それでもストーリーモードでの戦闘には、BGMを付ける予定でした。

全体的にはむしろ、環境としての効果音の強化がしたかったのですが、かなりいけると思った『B型』も、データ量が多くなるためにどんどん削られていき、当初予定していた厚みのあるエンジン音や、大砲の砲弾別の音の違いなど、どんどん削られていきました。『B型』のティーガーでは、PzGr39とSpGrの射撃音を変えたような記憶があります。本物を聴くことはありませんが、初速が違うのである程度変化するのではないだろうかと思ったわけですが、実際にはどうなのでしょう。昔の総火演で聴いた74式の射撃音が金属的な破裂音というか、その音が印象にすごく残っていて、88もそんな方向の音ではなかったのかと、その音を思い出すのでした。あれは、ライフリングによるものなのでしょうか。90式はどうだったか。

なくした『聖戦』の入ったレコードですが、検索してみるとこのジャケットだったと思います。買ったのは、1985年あたりか。







欠番面の続き

第14回目は、前回にロシア編の欠番の事を書いたので、その続きを少しだけ。

これはbisのドイツ編『霧の森』と同じ、オープニングのイベントに絡む面になる予定でした。

T34が2台のシンプルな面で、図上での敵は対戦車砲MG34の火点しかなく、ドイツ軍側の配置図が行方不明なのではっきりとはしませんが、敵歩兵の全滅でクリアする予定だったでしょうか。

ウラーポイントと書いてあるのは、そこからロシア兵の突撃が始まるという設定だったと思います。ここで使おうとしていたロシア兵の『ウラー!』と叫ぶ声は、タクティクス『打撃軍』のクリア時に、遠く小さいですが聴けます。ドイツ編での『霧の森』は難しいという人もいたと思いますが、こちらは簡単にクリアできるような面になったでしょう。

ロシア編のイベント面はこのように図を用意しましたが、ドイツ編の『霧の森』はコンストラクションがほぼ完成していたので、それを使って自分で組み立てています。しかし、そのデータをそのままコンバートできる仕様ではないために、データをコンストラクションであらためて開いてもらい、それを見て、まったく同じようにゲーム側のエディターで入力してもらうという、複雑な手順を踏んでいます。そのようにゲーム本体仕様とコンストラクションでは、厳密には別物ということになります。