『PANZER FRONT / アレコレ』第12回目は、レニングラード周辺の面についてのこと。
企画初期の段階でストーリーをつけることになって困ったのは、ロシア編の戦場をどこにするかでした。とにかくロシアの大地は広大で、地図を広げただけでも途方に暮れます。そこで注目したのはレニングラードをめぐる戦いでした。ここなら長い期間あまり動きがなく、好都合だったのです。
上の図は、イスクラ作戦で使用した地域です。プロホロフカの時(第5回目に書いた)と同じように、戦闘で使う場所を地図上で確定していきます。
赤の四角『#7』は『ネヴァ』、『#11』は『第5号パショーロク』、『#12』は『シンヤヴィノ』のそれぞれの範囲です。『#8』と『#13』は、ロシア編のストーリーモードが無くなった時点で欠番となり、『鉄道分岐点』はこの地図の外で、もう少し南に位置しています。
ある時期のロシア編の制作リストを見ると、戦場番号とそのタイトルの並びでこのようになっています。
L02
L03
L04『ガイトロヴォ』
L05『ムガの北東』
L11『第5号パショーロク』
L14『鉄道分岐点』
L17『クラスノーエ・セロ』
『ネヴァ』や、『L8』と『L13』がありませんので、このリストの時点で、ロシア編のストーリーモードの制作が中止されていることになります。L14とL17の間には、『プルコボ高地』という面もあり、それはコンストラクションに用意された地形に残してあったと思います。『ネヴァ』はイベント面なので、この時の戦場リストには入っていませんが、その後、bis用に組み立てることになりました。
『 L 』はレニングラードの戦場を示す文字ですが、17まであるということは、ロシア編は最大で17面を考えていたということになります。しかしそれがプランの最大で、作り進めたとしても多くが欠番になったでしょう。
地図を眺めると、戦闘に絡むいくつかの労働者団地はなく、戦後、廃止されたのか、それらは改めてこの地図の上に落とし込んでいきます。ネヴァ河畔の病院、火力発電所、鉄道分岐点は、大戦中と同じ位置のままなのか、ここだろうかと決めることができましたが、昔のオフィシャルにも書きましたが、シンヤヴィノ教会だけは決められませんでした。それはいったいどこに位置していたのか。制作の後、何年かして見た、三号突撃砲の写真集に1枚だけあるシンヤヴィノ教会は、ほとんど瓦礫となった建物と荒地でしかなく、場所を特定できるようなものではありませんでした。警察師団の写真集には、シンヤヴィノの写真が何枚かあり、そんなに高くはない丘にPaK38とMG34が配置されているのがわかります。前方はラドガ湖に向かう雪の荒野が続いていて、そこに植物が点々と見える寂しい風景です。今、ストリートビューで見るとすっかり木々が生え、その頃のような風景ではないようです。
下のシンヤヴィノ教会のスケッチは、昔のオフィシャルページでも紹介しました。形もわからないので、こんな感じにとスタッフに渡したものです。ゲーム内で教会を建てた場所は、面の特徴にもなるだろうと、見栄えの良い所に置きました。現在このあたりには、戦いを記念する公園が出来ているのか、そのような場所を確認できます。
この地域のことなので、本物は木造だったのかなと。