『PANZER FRONT / アレコレ』第54回目は、大衆と、勇気と、豪胆と。
企画を動かそうとしていた初期の話、ロシア軍側からも作るということになって、何かきっかけでも掴めないかと古本屋で目に止まったのは、『第二次世界大戦史 / ソ連共産党中央委員会附属マルクス・レーニン主義研究所編』の全10巻でした。編纂されたのはたしか1960年代なので、内容はあえてどうなのかは書きませんが、それにのってみるというのも面白いのではないかと、その時はそう考えたのです。とにかく、誰それの英雄的何々により◯◯達成とかいろいろと出てきて、それぞれの功績を讃えるものでもあるのでしょう。そしてこの本には、ティーガーは「虎」戦車、パンターは「豹」戦車と訳されて出てきますので、それはそのまま採用させてもらいました。”大衆”とか、”豪胆”もやはりそうで、なかなか力の入った独特な言い回しが並びます。
あまり目にすることもない訳文の利用に、出典は何なのだろうと、昔ある掲示板に書いている人がいたのを思い出しましたので、回答として、この本でしたと書いておきます。
ならず者、ヒトラー・ギャングとかに訳されていて、他ではなかなか見ることはありません。どこかの国の訳でも聞くので、ロシアの革命時からの伝統的な言い回しの、ストレートな訳なのかなとも思ったり。この辺りについては詳しい人もいるでしょう。パウル・カレルだったかクルト・マイヤーの本だったか忘れましたが、戦場でロシア兵のことについて、”ロシアの戦友たち”と書かれているのも(皮肉的にでしょう)おもしろいことです。
訳で思い出したのですが、赤と青の『ティーガー』の本には、『ロ■ケは燃えたぞ!』という強烈に印象に残るセリフがありましたが、元の本ではどんなだろうと探したこともありました。戦場の状況や前後の戦闘の雰囲気から、『ロス■は燃えたぞ!』はインパクトがあり、強く記憶に残ります。その赤と青の本のケーニヒスベルクをめぐる戦いの中での、『メトゲテンの仇を討て!』も忘れられないもので、たまに思い出すのでした。こういう言葉の先の、報復の連鎖増幅が戦争なのでしょう。メトゲテンは地図で探すとまったく見当たらず、ケーニヒスベルク包囲戦の図に記したものがあり、そこでおおよその位置がわかります。ドイツであった頃の地名は、場所としても消えてしまうのでしょう。
しかし、この『第二次世界大戦史全10巻』は、古本屋から持って帰るのは重くて大変でした。

これは第5巻の『スターリングラード攻防戦』ですが、クルスク戦もこの巻です。この中での、スクリプキンの戦いの部分、”大隊長ぺ・ア・スクリプキン大尉は、「すすめ! おれにつづけ!」と命令を発し”とあるので、先頭を行ったのか。”第一弾で「虎」の一つの側面を貫通し、ついでに展開して、三発目で敵のもう一つの重戦車を炎上させた”、と。これもチャーチル戦車による戦果なのでしょうか? この日のティーガーの被害は確か全損1輌か無しかのどちらかだったか、いろいろひっくり返さないと今はわかりませんが。そのあとの、操縦手アレクサーンドル・ニコラーエフの、炎上する戦車に一人乗り込み操縦し、敵めがけて突進、まるで炎の竜巻が、野を疾走しているかのように見えた、と。その後の、”爆発が大地をゆるがし、ソビエト戦車兵のなぐりこみはヒトラー兵のどぎもを抜いた”、そんな感じの内容なのではあります。
クルスクの面では、チャーチル戦車やM3中戦車も出したかった。M3中戦車は、多砲塔仕様になるために入れられず、チャーチル戦車はマークIVでしたので、あらためての用意はできませんでした。しかし、面に登録する車種の限界もありますから、どちらにせよ『А型』では難しかったでしょう。